自作小説「一緒にテニスでも同好会」39 第5章(その10)

 そのうちにみんな適当に座を移動してゆき、たまたま理奈が隣りの席に腰掛
けた時、サキは理奈に小声で、
「この間駅前でフォーカスしたわよ、新しい彼と一緒のところ」
「えっ。見てたの?」
 理                                     奈は悪びれていなかった。
「中山君とはどうなったの?」
「なんとなく別れちゃった」
「今度はどういう人。」
「法学部の学生で、長谷川耕平というの」
「そんなに早く男を取り替えてええの?」
 サキはきついと思いながらも、ズバッと聞いた。
「一度きりの人生じゃないの、いろんな男と付き合って経験を積まなければ損
じゃないの。男を見る目も養われるしね」
 人生に対して思いを巡らしたばかりだったので、サキは抗弁せず、
「そうね」
 と呟いただけだった。

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