自作小説「一緒にテニスでも同好会」38 第5章(その9)

「どうしたの。気分でも悪いの?」
 隣の昌代が心配そうに尋ねた。
「いいえ、大丈夫。ちょっと考えごとをしていただけ。昌代の方はどうなん、
こういう雰囲気。大体、あなた、集団で何かやるというのは、あんまり好きや
ないでしょ」
 昌代はうなずいたが、
「お酒が入ると、すっかり陽気になるのよ、私って」
「そう言えば、顔が真っ赤ね」
「でしょ、すぐに顔に出るのよ。だけど、いい気分よ。体がふわふわしてい
て」
「ラリってるみたいね」
「いやねえ、サキったら」
 昌代はサキの肩をぼんとたたいた。いつもの昌代なら、そんな軽々しい行為
はするはずはなく、サキはこれも酒のせいだと苦笑した。しかし、そのおかげ
で、サキの沈んでいた気持ちも上向いてきた。

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