自作小説「一緒にテニスでも同好会」33 第5章(その4)

「みんなにお酒のだしにされてるな」
 桜井はいかにも困ったような顔をした。
「リーダーはつらいねえ」
 マスターが同情した。
「カラオケの本、お願いします」
 桜井の求めに応じて、マスターは各テーブルにカラオケの題の一覧が載って
いる本を配りながら、
「せいぜいみんなの美声を聞かせてくださいよ」
「はーい」
 理奈が気安く受け合った。
「秋山さんが自信ありそうやから、一番バッターやな」
 坂崎が冷やかすように言ったが、理奈は平気なもので、
「いいわよ。私が見本を見せたげる」
と自分の胸をたたいた。
「さすがやなあ。お手並み拝見とゆくか」
「その代わり、次はあなたね」
 理奈は坂崎を指差した。
「ようし、受けて立ちまっせ」
 坂崎はこぶしを握り締めた。

この記事へのコメント