「魏志倭人伝」の記述は、情報操作されていたという渡邉義浩氏の説(番組「邪馬台国サミット2021」)・われわれが知っている「三国志」は後世の「三国志演義」の世界・横山光輝さんの漫画「三国志」も

 NHKの番組「邪馬台国サミット2021」の中で、「魏志倭人伝」の記述は、情報操作されていたという渡邉義浩氏の説が紹介されていましたが、興味を惹かれました。その記述通りに行くと、邪馬台国は九州よりはるか南の海にあるということになるのですが、魏の国は、対立していた呉の国を牽制する存在として邪馬台国を考えており、実際よりもずっと南にあるように思わせるために故意に描いたのだと説明されていました。確かに「魏志」は魏のために書いたものであり、偏った記述があるとの指摘には納得できる部分があります。史料というものが、その時の権力者やその意向を受けた者たちが自分らに都合の良いように書いた面があるということは、常に念頭に置いておかねばならないと改めて感じました。
 番組では邪馬台国の位置を魏の東南の方向に変えているだけではなく、他の例も紹介されていました。邪馬台国の人々は、顔にも体にも入れ墨を入れていたと記されているものの、その時代に日本で出土した土器の絵や人形には、顔に入れ墨をしているのはあるものの、体に入れている例は一つもないということでした。「礼記」によると、東に行くと顔に、南に行くと体に入れ墨があると記されており、「魏志倭人伝」の著者の陳寿は、この書物の影響を受けたのではないかと説明されていました。
 また邪馬台国では身分の高い人は4・5人、一般の人は2・3人の妻がいるという記述について、「周礼」には文明の中心では一夫一婦制だが、文明の中心から離れるほど一夫多妻制になり、女性の生まれる比率が高くなるという女性差別的な考えが示されており、その影響を受けているとも説明されていました。
 DSCN0520.JPG 写真は魏の曹操の画像ですが、われわれが一般的に知っている「三国志」の世界は、後世に書かれた専ら物語的な要素が強い「三国志演義」の方であり、史実ではありません。「三国志演義」では、曹操は悪役として設定されており、われわれもとかくそういう目で見てしまいがちです。
 DSCN0516.JPGDSCN0517.JPG 横山光輝さんが書いた漫画「三国志」も、「三国志演義」をベースにしています。30年ぐらい前に全巻買いそろえましたが、当時の風俗などを細かく調べて描いたものだと感心します。さらに正確さを期すため、後年、描き直された部分もあります。

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