「ドクターキリコになりたい」と投稿していた容疑者の医師としての資質のなさ・拙ブログの「漫画探訪」よりの再録ー「キリコ」の医師としてのプライド・軍医時代の原体験


その中で、キリコは安楽死を請け負うだけでなく、人の命が助かって喜び、医者としてのプライドを持っていることがわかる場面があることを述べました。たとえば、キリコが「おれも医者のはしくれだ。いのちが助かるにこしたことないさ」と、難手術で人の命を救ったブラックジャックに感謝するところがあります。
一方、この容疑者たちは、「扱いに困った高齢者を『枯らす』技術」と題する本を出していますが、こういう言葉使いを平気でするという感覚自体に、医師としての資質が欠けている気がして仕方ありません。
これもかつて書いたことですが、「ドクター・キリコ」が安楽死を請け負う医者になったのは、軍医時代の原体験が大きく影響しているという描き方がされています。戦争で手足をもがれ、腹や胸をつぶされて、それでもまだ死ねないという悲惨な状況の患者に多数接して、彼らから早く死なせて楽にしてくれと懇願され、それを見るに見かねてキリコは彼らに毒を注射してやると、彼らは「ありがとう、先生」と感謝の言葉を残して死んでいきました。
むろん、こういうことは医者としては許されない行為であり、法律にも触れますし、殺人罪の対象にもなります。今回の医師たちも嘱託殺人の容疑で逮捕されたされたのは、当然のことです。「キリコ」の軍医時代の原体験には、重いものがあり、考えさせられる面があることも事実ですが。
この記事へのコメント